x.stage
冷めきった紅茶を握りしめながら、千夜はフィオーレと呟く。
「クラフトを使って悪さをするやつらさ。人数は不明。あちこちで騎士団を潰そうと企ている。やつらはこう言っているんだ。"旅人はいずれ我らとともに"ってさ。」
「旅人とともに…旅人は彼らの仲間なの?」
緋那はちらりと周りを見てこう言った。
「言い伝え通り、旅人が現れた時に平和が崩れるならば…俺たちの敵に違いねぇ。」
ぞくりとするような視線に、思わず俯く。
「ま、お前は馬鹿正直みたいだし、違うんだろ。」
頭上から呆れたような声が聞こえた。
カップを置いて立ち上がった緋那は、千夜が回収したお土産をまとめて手に取る。
「…信じてくれたんだ。」
「別に。怪しい動きをしたら殺すまでさ。」
さらりと恐ろしいことを言いつつも、先程のような殺気は無い。
両手いっぱいに荷物を持って暖簾をくぐる緋那に、千夜が笑顔を浮かべていると、後ろから遠慮がちに声をかけられる。
「あのぅ…お客さん、お勘定…。」
ひきつる笑みに気づくはずもなく、緋那は暖簾の向こうから早くしろと叫んでいた。