傘恋愛 -カ サ レ ン ア イ-
カウンター8席テーブル5席の小さな喫茶店。
オレンジ色の小さなライトが、いかにもな雰囲気を作り出していた。
黒のYシャツのボタンを上から二番目まで閉めて、店の前の看板を"営業中"にする。
店には出勤前のサラリーマンが一人、新聞を片手にコーヒーを飲んでいた。
「ごゆっくりどうぞ」
コーヒーのおかわりと愛想笑いを残してカウンターに戻る。
ああ、今日も平凡だ。
カップを磨きながら、そんなことを思う。