エデン

コンコンコン

おれは家の前に着くといつものように戸を三回叩いた。

「?」

けど家の中は静まり帰っていて人が出てくる様子がない。

「‥‥ヒカル?」

おれは訝しがりながらドアに手をかけた。

ガチャ‥‥とノブが回る。

ヒカルがカギを閉めなかったのは初めてで、おれは焦りながら部屋へと入った。

部屋に入ってすぐに割れたフォトフレームを見つけた。

「‥‥ヒカル!?」

何かすごく嫌な予感がして、おれはヒカルの名を叫んだ。

返事はない‥‥けど、隅で蹲ってるヒカルを見つけた。

「ヒカル!!」

倒れているのかと思い焦ったが、ヒカルはゆっくりと顔を上げた。

その顔色はお世辞にも良いとは言えず、瞳も泣きはらしたように赤い。

「‥‥ヒカ「それ、どうしたの?」」

おれの言葉に覆いかぶさるようにヒカルは口を開いた。

ヒカルはおれに視線を合わせる事無く、おれの手の中にある果物をどこか定まらない視線でみている。

「‥‥盗んだの?」

言いながらヒカルはおれに視線を合わせた。

静かなヒカルの視線がおれを射ぬく。


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