恋歌 〜secret love〜
「なぁ、最近奏おかしくない?
何かこー……いつもよりも目の浮き沈みが激しいっつーか……」



やっぱり、勇人はさすがだなぁ……

上手く表現できないみたいだけど、よく見てるなって思う。



「それ、あたしも思ってたんだぁ」


「初めて俺等が気付いたのって1年の進路希望調査だよな?
結局何も言ってくんなかったけど……」




そう。

初めての進路希望調査の時、大学名も学科も職業も書かないで用紙を見つめてた奏。


何となくだけど、あの時も目が揺れてた。



耐え切れなくなったあたしは

『奏は将来何になりたいの?』

って聞いて……


そしたら奏は、

『私は教師になるの』

って笑顔で答えた。




違和感





あった。




あの子の“なるの”って言葉に。



プラス思考で考えれば、教師になりたくて仕方がない、なる自信もあるんだって捉えられる。




でも

奏は違う。



何かを諦めて

何かに従ってるように見えたの。
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