恋歌 〜secret love〜

「今日の隆夢ちゃんの話さ、どう思った?」


「あぁー。あの、『今は志望校の判定がDでもEでも心配しないで下さい』ってやつー?」



からかわれるのが嫌だったからかな?

いきなり真面目な話をしだした勇人に、仁志くんが答えた。



「そうそう。『最終的に、本番で力が発揮されれば言うことはないから、今は焦らずに、まだ志望校を夢見ていれば良いんです』ってさ……。

確かに言うこともわかるんだけど、正直、それじゃあ遅いんじゃないかって心配になるんだよ」



くるくるとシャーペンを回しながらそう言う勇人の言葉に、共感しないわけじゃない。



実際の問題、夏休みになった今、志望校の判定を気にしない受験生はいないと思う。



勇人がこうして焦っている気持ちも、きっと当たり前なんだろうなぁ……



「そんなこと言ってたって仕方がないじゃないの!実際、力を出すのは本番なのよ。受験の場合。

今悩んで、その時のための力を蓄えないなんてもったいないじゃない?だから、先生もあんなこと言ったんでしょ」


 
< 150 / 339 >

この作品をシェア

pagetop