恋歌 〜secret love〜

┗初めての進路相談

「ただいまー」


「おかえり。暑いのにお疲れ様。 学校はどうだったの?」


「学校? 別に、いつもと変わらないけど……?」



玄関を上がってそのまま自分の部屋に行こうとしたあたしは、そっと足を止めた。



声のした方にぱっ、と目を向けると

キッチンのテーブルに食器を並べる母親の姿が見える。



「そういうことを聞きたいんじゃなくて……。勉強ははかどったのか、って聞いてるの。

授業の後に、彩乃ちゃん達と勉強してたんでしょう?」


「あぁ……うん。ちゃんとやってきたよ」


「そう。それだったら良いの。

もう夏休みも半分しかないんだし、悠長なこと言ってられないからね」



満足に食器を並べ終わったのか、母親は手を止めてあたしを見た。



「そうだね。まだ結果はどうなるかわかんないけど、できる限りはやってみるつもりだから大丈夫だよ」


「わかった。模試が終わったばかりだからって、気を抜かないでよ。

もうすぐご飯はできるから、着替えて少し勉強してたら?」


「うん。じゃあね」
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