恋歌 〜secret love〜


「ここに隆夢ちゃんがいたら完璧なのにー!!」


「さすがに今日は忙しいだろ。

センターリサーチの業者とのやりとりもあるだろうし、先生同士でも、俺達の結果と志望校を照らし合わせて判定会議をするんだろ?」


「うん、確かそうだったはずよ。何か、受験ってこんなに大変なんだーって、思い知ったわ。今更だけど」



六濱くんの言葉に返した彩乃は、そのまま水の入ったグラスに手を伸ばした。



カラン、と揺れる氷が、窓から入る光できらきら光ってる。



夏は涼しげで、少しでも長く触れていたかった氷。


冬の暖かい店内では、ちょうど良いうるおいをくれる氷。



そんな小さな物や変化に、今は何だかほっとする。



「受験か。まぁ、まだセンターの判定ももらってないし、それまでは自分の思うように勉強するしかないよな……。

よっし!俺は決まった!!」



勇人は、そう言ってメニューを閉じた。
< 236 / 339 >

この作品をシェア

pagetop