恋歌 〜secret love〜
「彩乃ー!奏もおはよう」

「おはよう、勇人。今年は同じクラスで嬉しい!」



彩乃と一緒に確認してきた、新しいクラスの扉を開ける。




3年9組。

今日からここがあたし達の教室。



この教室にはまだ慣れないけど、目の前には見慣れたラブラブオーラ……



いつものことだけど

そんな彩乃と勇人が、あたしは微笑ましい。




彩乃の彼氏、毛利勇人[もうりはやと]とは、男友達の少ないあたしもよく話す。



同じクラスだった1年の終わりに、勇人が彩乃に告白して……

それからずっとこの調子。


勇人は、彩乃の誰にも媚びなくて、それでいて親切で明るいところを好きになったんだって。


美男美女の2人を見てると

“お似合い”って言葉がこの2人のために作られたんだって、本気で思う。





―――……これから始業式を行います。体育館へ集まって下さい。――――





放送を聞いた生徒が体育館へ移動し始めた。





あたし達には今年、“受験生”ってラベルが貼られた。



そのせいなのかな……?


彩乃や勇人と同じクラスになった喜びと

これからへの少しの不安を抱えながら


あたしの、高校最後の1年が始まろうとしていた。
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