恋歌 〜secret love〜


涙って、何でこんなにも熱いんだろう……?



頬は、雨でいっぱいのはずなのに

その中に紛れ込んだ涙だけは、何故か自分ではっきりわかるんだ。




恋愛に疎いあたしは、こんな風に泣くのだってもちろん初めてで……


ここまで来て、押さえてた感情がどのくらい大きいものだったのか、改めて気付けた。




……これを諦めようとしてたなんて、あたし、バカでしょ?




どうしようもない気持ちだから、先生に『言わない』って決めたことは間違ってたとは思わないし


後悔もしてない。



でも、何もしないまま自分の気持ちを諦めることの……


あたしがずっとしてきた生き方の間違いを、ちゃんと実感できたことも、事実だ。



……それだけでも、すごい価値があったって思って良いのかな?



「ありがとう、頼城先生……」



小さく小さくつぶやいて、あたしは玄関に落ちる水滴を見送った。




これがあたしの、先生との……


最後の思い出になった――――










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