One STEP




「せんせーい、湿布貰っていい?」



「いいけれど無駄に使ったりしないでよ?」



「はいはーい」



湿布を持ってくると琴子はあたしの前にひざまずいた。


なんだか演劇でもしているような仕草に、あたしは小さく首を傾げる。



「手をお出しください、お姫様」



「…何キャラよ?」



ふふっと面白そうに笑う。


あたしも小さく笑った。



時たま冗談を言って、笑ったり。


そういう時があたしは好きだ。



「あっそうだ!藤田先輩!今日テニス部ないんで、香澄と部室行ってもいいですか?」



…忘れてたのかよ。



「あぁもちろん」



「良かった♪」



やった、っと嬉しそうに微笑む琴子。



琴子の笑顔はとても優しくて見ているこっちまで笑顔になってしまうんだ。



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