One STEP



先輩って、こんなにカッコよかったっけ…?



ドキンドキンと心臓がウルサイ。


耳にハッキリと聞こえてくる。



先輩には聞こえないだろうか?



あたしは先輩の質問に、首を縦に振ることも横に振ることもできなかった。


ただいろんな気持ちの交じり合った、この気持ちが分からなくて俯いていた。



先輩は何も言わないあたしに微笑みかけると、声を上げた。



「よ-っし!それじゃあ始めるよー!!」



先輩の声が響く。


波の音に負けない先輩の声が誰もの耳に入り込む。



この声が好き。


どこまでも響き渡る、アナタの声が好き。



向こうから夏沙先輩の「はーい」という元気な声が聞こえた。



< 304 / 528 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop