One STEP
真実の鍵の在り処

本格的練習開始




『あたし…ユウヘイが好きだから』



『アリア…』



目の前で繰り広げられる慎也先輩と美空先輩の演技に、あたしは呼吸をすることすら忘れて見入っていた。


鳥肌がたつ。


瞬きすらも忘れて、体育座りをしたまま2人を交互に見つめる。



今日はだいたいの流れを覚えるための練習だから、台本を持ったままでの演技。



素敵すぎる2人の演技を目の当たりにしたあたしは、隅っこで1人緊張でガクガク震えていた。



つ、つつつ次あたしだ…うそうそ…こんな上手い2人の後にあたし…っ?!



あまりの迫力に今すぐにでも逃げ出してしまいたい衝動に駆られる。


けれどあたしの心の強い部分がそれを阻止する。



逃げてはいけない。


そう、あたしの心の隅っこの何かがあたしに言いかける。



先輩たち演技をこんなにも間近で見て、改めて凄さを痛いほど感じた。



本気の熱を持ったオーラが漂う教室。


先輩たちの額には薄っすら汗が光っている。




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