One STEP



タン…



足音が近づいてくるような気がする。


気のせいだと信じたい。


いや、きっと気のせいだ間違いない。



だってそんな…そんなことって…。




「ねえ」




言葉と同時に掴まれた肩。


「ひぃ」と、情けない声が喉から飛び出す。



……あれ?



「………」



あたしはトイレと向き合ったまま固まった。



女の…声じゃない…?


男の声?



あたしは恐る恐るゆっくりと振り返る。




「やっぱりそうだ」




え…誰…?



知らない、見たこともない男の人があたしの前に立っていた。


意味が分からずその場に固まるしかできないあたしの顔は情けないことになっているだろう。



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