アイシング、マイラブソング
《まもなく電車がまいります―》


構内アナウンスがこの時間の終わりを告げる。


ちょうどそのとき、こちらに顔を向けていた千架が目を横に背けた。


下を見るような流し目をして、
僕に質問してきた。



「三上…学校、慣れた?」



質問の内容よりも彼女の表情が気になった。


とりあえず、変な駆け引きや嘘を言う余裕は無かったので正直に答えた。


「まあね。まだ高校生の実感ないけど」


すると彼女は
急に目を合わせてきてさらに続けた。


「ふっ、と…中学時代が懐かしくなったり、しない??」


つい焦った僕は、

「北高は楽しくないの?」

なんて愚問を口にした。


「ううん、別に」


千架がそう答えると同時に、電車がホームにやってきた。



「さっ、乗るよ♪」


―ありゃ?



彼女はもう笑って白線に向かっている。



―さっきの表情…気のせい?



少し腑に落ちないながらも、明るく振る舞う彼女の後に続いた。
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