アイシング、マイラブソング

【6―2】忘れさせてよ

季節は冬になった。


就職先も電気工の会社に決まり、

大学受験組を尻目にだらだらと最後の学生生活を過ごしていた。



千架のいない日常がもう半年以上経つけれど

付き合う前はこんなだったかと疑いたくなるくらい

むなしい。



祥や友達と遊んでいても
ゲームをしていても
ゴハンを食べていても


頭の片隅にはいつも千架がいる。




―女々しすぎる…。




この頃の僕の口グセ。

千架を諦めきれない自分がもどかしい。



こんなモヤモヤする心を払拭すべく、

僕は短期バイトに精を出した。


ある時は引っ越し屋

またある時はお菓子工場袋詰め…

使いどころがないので、嬉しいやら悲しいやらお金だけが貯まってゆく。
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