アイシング、マイラブソング

「ありがとう」




千架がはにかみながら言う。



―いやいや、こちらこそ!



口には出せず、心でついつい礼を入れた。




「じゃあ

 またね!」




彼女は自転車置き場に戻ってゆく。


颯爽と走る後ろ姿をしばらく見送り、

僕も再び歩き出した。




―藤堂は憧れで終わる存在…



―そのはずだったのに…


―メールとかアリかな

―返してくれるかな

―とにかく繋がりができた

―別に恋人じゃなくたって、

―友達でいい…

―知人でも何でもいいじゃん!



―素直に喜ぶか!




居ても立ってもいられなくなり、

部活で疲れたはずの体も気にせず駆け出した。



高校生活三ヶ月目、

シアワセ気分で青春というやつを実感し始めた。
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