アイシング、マイラブソング
千架は、電車に乗って行った。



夢に向かって前に進んで行ったのだ。



あの、

扉の開いた瞬間、

千架は言った。




『悠…気持ちは同じだよ…!!


 だから…


 わかってね…』




諭すような口調。


僕は腕の力が抜け、


千架は離れていった。




―わかって…るよ



―千架が夢をあきらめないこと



―ダメ元だったから気にしないで…



―ごめん…こんな終わり方で…




『悠、ありがとう!!』



プシュー…




電車の扉が僕らを分け隔て、

本当にさよならの時が来た。



千架は泣いていない。


別に僕に気がないわけじゃなくて、


気丈に振る舞ってるんだって、僕にはわかる。


その気遣いに胸が苦しくなった。
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