アイシング、マイラブソング
今日は空がキレイだ。


雲ひとつない青い空。


とても梅雨とは思えない、からっとした陽気。


こんな日は彼女とニケツでサイクリングでもしたいところだが、

僕は今、

祥の家に向かっている。


もう虚しい自分には慣れた。

別に独りで寂しいとは思わない。

千架もこういう空を見て、

「ふふっ」

って笑いながら頑張っているはずだから。


それを思えば寂しくない。


ワンワン!


祥の家に着くと、門の向こうで一ノ谷家の愛犬が尻尾を振りながら吠え立てる。


ラブラドールレトリバーの女の子、
ミカンちゃん。


ミカンが家に来た時期が冬で、名前を決めるときに家族全員コタツでミカンを食べながら考えていた成り行きでそうなったとか。



そういえば、千架の家にも似たようなわんこがいたっけ。



―いや、もう千架のことはいいだろ…

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