不器用な君と不機嫌な私

偶然か、必然か


あの日、次々の生徒が教室から出て行く中、たか子たちもその中にいた。


声をかけることは、できなくて。


私も同じように、

教室から出ようとしたけれど


思いとどまったんだ。




理由はないけれど、

ただ、家に帰ってもすることがないし


だから

偶然、教室に残ったのに。





ねえ先生、もし私があのとき

みんなと同じように
教室から出ていたら

きっとあなたに恋をすることはなかった、なんて。


そんなこと恥ずかしくて言えないけど


でもね、本当にそう思うんだ



私はあのとき、先生に恋をしたから。




悲しいことも、楽しいことも

全部終わった今だから


言えることなんだけどね。







< 37 / 303 >

この作品をシェア

pagetop