【完】チーズ男とあたりめ女
起こしてはいけないとわかってても、私は父親の手を握った。

父親はゆっくりと瞼を開き、私を見た。



「海…バレてしまったか」



「何で隠してたの」



「海に…高校を卒業させる為だ。何も…心配しないでな」



…馬鹿だよ…。



「娘に心配させてよ…1人で我慢しないでよ…っ…」



「泣くな…。俺が死んだら、海が祖父ちゃんと祖母ちゃんを守るんだろ…」



「何…言ってんの…?」



「俺が治療をしてたのは、死ぬ前に、もう一度だけ…お前に…会いたかったからだ…」



「嫌だよ…お父さんが居なくなるなんて…絶対に嫌だ…ッ…」



「俺が死んで、海がどこにいても…お父さんとお母さんの愛は届く。ここ(心)に、ちゃんとな…」



父親は、私の胸を指差して、力なく微笑んだ。
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