【長編】雨とチョコレート
「……」
視線を外して、ぐしゃぐしゃにされた髪の毛を、手櫛でとかす。
しのは黙りこくったままで、俺は半ば呆れながら自分の席に荷物を適当に投げて、しのの腕を掴む。
「……れいくん、痛い」
「オハヨーって言いなさい」
どこの母親だよ!
ってツッコミを自分の中でいれた。
けど、しのは素直に言う。
「オハヨー……」
目線こそ合わせなかったが。
俺は、よくできました、と腕をつかんでいた左手を離す。
手が離れるとすぐ、しのは自分の席に座ってしまった。
それを目の端で確認して、席に着く。