それでも世界はまわる
いつも演じ慣れている場面なのに、二人とも声が震えていた。

演技とはいえ、お互い目を合わせなければいけないし、りおんはさっきの台詞で顔を精一杯近付けなくてはいけなかった。
今はもちろんできるわけないが。

他の人たちはそれぞれの練習に夢中になっていた。
美佳たちも人ごみの多い教室の後ろで稽古していたので、さほど目立っていなかった。

次は理沙の台詞。
そして、この場面最後の美佳の台詞へと続く。
強く床を叩いてから、言い終わると舞台から消える。その後を追って理沙も舞台袖に消え、暗転になる。
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