それでも世界はまわる
りおんが話しかけてきたが、美佳は答えられなかった。
胸が締め付けられる。声が出ない。

「りおん・・・騙しとったんじゃ。ごめんね、この人が美佳さんだよ・・・」

「は? うそっ」

「ほんと・・・」

智之が説明すると、りおんは美佳の肩に手をかけた。
他の三人は黙って見守っている。

「・・・触らんで」

何を言っているのだろう。
美佳は無意識に出てきた自分の言葉に驚きと、絶望があった。

美佳は思い起こしてみた。

あの時、自分は座った。そうして拓也が聞いてと、そう言ってきた。

そして、りおんが・・・。
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