キミ時間

「栞奈ちゃん、いつも悪いわね♪」


リビングに行くと、おばさんがニコニコとしながら朝ごはんを用意している。


「いいよ、そんなの~。幼馴染みに生まれた、あたしの宿命だよ」

「そう言ってくれると助かるわ~。あの子の低血圧はお父さん譲りだから」


チラッとおじさんを見ると、ゴホゴホとむせながらコーヒーを飲んでいた。


のんきな一家だ。

大地は、おじさんにもおばさんにもよく似てる。



だからかな。

すごく落ち着く。


「落ち着いてる時間なんてないぞ。」


いつの間にか支度を終えた大地が、あたしの後ろでパンを加えていた。

壁時計を見てみると、時刻は7時58分。


朝礼の時間は、8時30分で。

こっから学校までは、歩いて30分。


「やばーい!!大地、チャリでいこう」

「はいはい、朝から騒ぐなうるさいな~。」


誰のせいだと思ってるんだよ!!


あたしは大地のチャリの後ろに乗ると、大地は勢いよく自転車を走らせた。


ギュッ、と落とされないように、大地に抱きつく。


慣れた行為。

自転車をこぎながら、大地は涼しい顔をしている。




あたしなんて、未だに心臓バクバクするのに。


大地は、あたしにただの幼馴染みとしか見てないから、こうなんだよね。




意識してるのはあたしだけ。



――好きなのは、あたしだけ。


これが恋だと気づいたときから…






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