小説家橘夢子と5人のイタズラ王子

母の思いに答える為に

母親って言われても実感はない。


父親は出て行った母の事について、何も話してくれなかった。


父親には何人もの女がいた。


家に連れて来た事はなかったけど。


私は父親の親、祖父母に育てられたから、父親との思い出もない。


外で遊ぶ事が苦手で、いつも家の中で本ばかり読んでいた、寝暗な女の子だった。


祖父母に甘えたこともない。


大人に甘える方法を知らなかった。


そんな私がこの子たちの親代わりなんて務まらない。


「夢子さんの気持ちは分かりますが、いつまでもここにいるわけにはいきません。手紙を読んで下さい。」


背の高い青年から渡された手紙。



手が震える。



え、小さな男の子が私を抱き締めた。










< 11 / 216 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop