精霊達の棲家
シュンはその日も車椅子のジイジの膝の上に乗り、一頻りはしゃいでいた。
ユキナは何時も絵手紙を描いてくれる。
家族そしてジイジとバアバ、犬のナリ。
みんな笑顔。
ノートやメモ帳、いろんな背景と人物像、プリキュア・フィギュアの世界。
小さな頃から色鉛筆で自在に描く、よく飽きないな、と思う程夢中だ。
思いのストーリーを口遊(ずさ)み、画を連ねていく。
そこにはユキナ・ワールドが展がる。
文面には
「ジイジ、ガンバレ」や
「負けるな・・・」
「また一緒に・・・」
の文字が躍る。
父と子の関わり合いでは、必ずしも恵まれた絆で結ばれている訳ではない。
その深層心理には負の影が宿っていてもおかしくないが、影が見えなくなる程の愛情に包まれているのだろうか、その影は噯(おくび)にも出さない。
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