氷狼―コオリオオカミ―を探して
岩場の方は波が打ち付けていたけれど、砂浜の方は静かだ。

波打際まで行くと、思った通り海水が凍りついていた。

あたしは松明を砂にさして等間隔に立て、次々に火をつけた。


まるで打ち上げ花火のようにいっせいに火花が散り、砂浜が一気に明るくなった。

氷狼達が海から後ずさりする。


これで、氷狼は凍った海に逃げられない。

火を消そうとしたら、海の氷を解かして波をたてなければならない。


あたしは岩場の上にいるリーダー狼を見上げた。


あんたは、海の上に仲間を残したまま氷を解かしたりしない。

浜に仲間を残したまま逃げたリもしない。


「ここから逃げる道はあの階段だけだよ」


「すげぇ!」

狐がゲラゲラと笑った。
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