氷狼―コオリオオカミ―を探して
冬の終り

全身が痛い


あたしはゆっくりと目を開けた。


最初に見えたのは女の子の顔で、あたしは瞬きを何度もして焦点を合わせた。


この子、知ってる。

『迷いの森』の繭の中で会った子だ。

あたしはあそこに戻ってしまったの?


「お姉さん、わたしが見える?」

女の子が言った。


「見える」

あたしの声はかすれて、しわがれていた。


「ナースコール押したげるね」


顔が見えなくなった。


ナースコールって、ここは病院?


あたしは病気が治る前のあたしに戻ったのかな


足音がパタパタと聞こえて、看護師さんやお医者さんがあたしの周りをとりまいた。

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