氷狼―コオリオオカミ―を探して
「ノックくらいして」

あたしはちょっと振り向いて言うと、また作業に戻った。


「何してんの?」


「不要品の整理だよ」


ベッドが軋む音がする。

もう一度振り向くと、翔くんはベッドの端に腰掛けていた。


「何か用事?」


あたしがきくと、


「用事がなきゃ来ちゃいけないのか?」


ムッとした声。


ケンカしたい訳じゃない。

あたしはため息をついて、ちゃんと翔くんの方を見た。


「ゴメン、ちょっとイライラしてて」
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