氷狼―コオリオオカミ―を探して
エピローグ 冬のゆりかご
風の喇叭(ラッパ)が鳴っている



「パパぁ! 変な音がするよ」


小さな娘の声に彼が窓辺に近づく。


タン ト タタン

風の太鼓も鳴っている



「外を見ちゃだめだよ」


彼は優しく言って、娘を抱きあげた。


「夜は妖魔と夜出歩く動物達のための時間だ。人の子は眠るものだよ」


「まだ眠くない」


「じゃあお話をしてあげよう。病気のお姫様を助けるために氷狼を探しに行く王子様の話だ」


それから彼はこちらをチラッと見てつけ加える。


「そして、氷狼の呪いにかかった王子様を救う勇敢なお姫様の話」

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