氷狼―コオリオオカミ―を探して
「ここどこ?」


あたしがいたのは水墨画のような色のない部屋だった。


家具の類は何もないだだっ広い部屋で、白と薄墨のようなグレーのクッションが散らばっている。


あたしの前には馬の乗り手が

少し離れて取り巻くようにイタチと狐の面をつけた奴らがあたしを見ていた。


「この街に来た時に俺達が使う宿だ」


「あたしをこんなところに連れてきてどうすんのよっ!」


「怒鳴るな、やかましい」

馬の乗り手は面倒くさそうに手を振って言った。

「お前達の世界と俺達の世界は重なり合って存在している。世界と世界の間には共通のルールがあって、お前はその禁を犯した」


「そんなルール知らない」

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