さよなら、記憶


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「はぁっ…はぁ」


目的地が変更した。

ラウワンに行くより大事な用ができた。


電話にでたのは玲太じゃなかった。

何故か繋がってでたのは看護師さんだった。



私たちがさっきまで一緒にた連れだと話せば急いで病院へ来るよう言われた。

理由は分からない。

まだ分からない。


でもいやな予感がする。

真季に関してはかけてもまったく繋がらない。


何があったかは分からないけど私たちは必死に走った。


廊下を走るなと注意する看護師さんを他所に院内でも必死に走った。

2階の病室。



告げられた部屋番号の前で立ち止まった。

怖いほどに静かな廊下。


私たちの乱れる息だけが唯一響く音。

壊れるんじゃないかというほどにドクドクと動く心臓。


一番ドア側に近かった郁也が静かにゆっくりと病室の扉を開ける。


目に飛び込んできたのは信じられない光景だった。





顔に白い布をかぶせられて動かない人が寝転ぶベッド。

そのベッドを囲って俯く人や泣きじゃくる女の人。


この女の人、知ってる。




玲太のお母さんだ…。

いつかに玲太の家にお邪魔したことがあった。勿論全員で。


そのときに笑ってお菓子をだしてくれた…



未亜はその場で崩れ落ちた。

郁也は下を向いて歯を食いしばっている。


私は…、


私はこれが現実なのだろうかと疑うことしかできなかった。
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