【短編】魔法使いとシンデレラ
シンデレラの家にて
シンデレラの家に着いた。

僕はすぐにシンデレラを見つけた。僕はシンデレラがどこにいても見つけられる自信がある。

見つけても中々声をかけられない。でも、シンデレラに魔法をかけなくてはいけない。だってそれが役割だから。腹を括る。

「シンデレラ、君に魔法をかけてあげる。まずはカボチャと鼠とトカゲを用意してくれるかな?」

急に現れた僕の言葉にシンデレラは驚いたようだ。

「魔法使いさん。どうして私なんかに魔法をかけてくれるの?」

もっともな疑問。僕は簡潔に答える。

「君に幸せになってほしいからだよ。君は綺麗だから舞踏会に行ったらきっと王子様に見染められる。」
「綺麗だなんて……ありがとう」

頬を少し染めながらシンデレラが言う。やっぱり君は綺麗だ。

「今、カボチャと鼠とトカゲを用意するわね」

シンデレラは僕が言ったものを用意しに行ってしまった。本当は魔法なんかかけたくない。
舞踏会に行ってほしくない。用意なんてしてほしくない。
そう思っていても、しっかり者のシンデレラはあっという間に用意してしまう。

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