記憶 ―流星の刻印―
そうハラハラしていたのだけど、なんて幼稚な王子様。
太磨の方が何枚も上手で、やっぱり曲がりにも大人なんだと安心したわ。
「…いや~、こんなに慕われる、凄い王子様とは…。先程は大変失礼しました。恥ずかしながら、無知な田舎者だったと心を改めました。寛大な王子は、先程の無礼をお許し下さいますでしょうか…?」
心がこもっていない…。
誰が聞いても、口だけの台詞だと分かったはずよ。
「――そうかっ!!分かれば良いのだ!!俺は寛大だからな!?無知なお前たちを許そう!!」
そう満足そうな、
王子様を除いては…。
そして許された私たちは、いとも簡単に宮殿の客間に通され、現在に至る。
「…どうして、そんなに偉い王子様が、あんな所に独りで居たの?」
王子様は公務があるそうで、私たちの相手をしているのは朱理1人。
「――あぁ、ちょっと誘拐されまして。丁度、捜索していたところでした。」
そう淡々と冷めた温度で他人事の様に話す朱理が、私は苦手で堪らない。
「……ちょっと?誘拐?え?」
まるで日常茶飯事かの様に、
平然と朱理が口にする内容に驚いて、私は顔をしかめていた。