記憶 ―流星の刻印―


にゃっ!!
『なんでさー、揚羽のバカーっ!!冷めてるっ!!夢がない~。』

見れないと言い切った私に、虎白が反抗期。


「――む。ペットの分際でっ!!私に『バカ』ですって!?――このヘタレっ!!」

『――んにゃあぁぁっ!!』

虎白の口を片手で掴んで封じ、ジタバタする体をもう片方で押さえ込む。


虎白が反抗期な理由は、
もう1つある。

「ヘタレ」の意味を理解した。

怒る様になったのよ。
私の知らないところで、
太磨に聞いたに違いないわ。



「……うるさい、お前ら…。爺さん、悪いな?騒がしくて…」

「ははははっ!!いやいや楽しい旅で羨ましいよ。いつもの道中は、静かで退屈なんだ。」

……別に楽しくないわよ。
そう言葉は出掛かったけれど、私はちゃんと唇を閉ざした。
大人の対応をしたわ。


「…しかし、砂丘の地も今は治安が悪いらしいから…、気を付けるんだよ?」

「……治安が?」

お爺さんの言葉に、
太磨が「はて」と首をひねる。


「…さっき旦那も言ってただろう?朱雀の血を引く末裔…。聞いた話じゃ、砂丘の中心部は特に荒れてるらしくてね?」

「中心部が…?」

太磨の表情は曇った。

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