誠-変わらぬ想いの果て-



「さて、私達も仕事に行きますか」


「もうこうやって屯所建ててる時点で拒否権のへったくれもないって分かってるんだけどよ。 俺達死んでるんだぜ?」



「人間には見えねーんだしよ。

一体どうすんだ?」




人間から情報を得たいのに、肝心の人間に姿が見えないのでは本末転倒だ。


無駄足に終わってしまう。




「そんな簡単なこと心配ご無用。

澪ちゃんも市中で見えたでしょう?」



「あぁ――確かに」



「そういえばそうでしたね」



「澪ちゃんは元気かな?」



「だと思いますよ。 帰ってきたと知ったら会いにきたがるでしょうから書き置きをして―――。 さっ、みなさん。 これ飲んで下さい。 普通の人間にも見えるようになりますから」




奏は丸薬を差し出した。


元老院随一の薬師と呼ばれる奏が澪ちゃんのために作ったものだ。



< 30 / 254 >

この作品をシェア

pagetop