部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
そう言った亜矢子の声に琢磨は物凄い引っかかりを感じた。

「私達?」

そう言って上目遣いに亜矢子を見上げる琢磨の顔を亜矢子はにやにや笑いで見下しながら、物凄く不思議そうな口調で琢磨に向かってこう言った。

「あら、あんたと私に決まってるじゃない。それ以外に誰がいるって言うの?」

その言葉を聞いた琢磨が不満そうに何か言い返そうと口を開いた瞬間、彼の言葉をさえぎる様に亜矢子がこう言った。

「分ってると思うけど、否定する権利は無いからね。分ってるでしょう」

そう言ってにやりと笑う亜矢子の表情を見上げる琢磨は、絶望的な表情を浮かべ、がっくりと肩を落とした。

朝の教室は、生徒達のさざめきで満たされ、居心地の良い空間を演出しているが、琢磨の心は鉛の重りをぶら下げられた様に、酷く落ち込んで、考える力すら奪い去って、今日一日分のエネルギーを使い切ってしまった様だった。

まだ一日は、始まったばかりだ。しかし琢磨の心は既に西の空に沈みつつ有った。
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