部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
「――あ、あり…がとう、大丈夫よ」

そう言って、直子は無理矢理笑顔を作って見せたが、ダメージが意外と大きそうなのは一目で分る。

未だ息は荒く、喉元にはくっきりと手で締めあげられた跡がくっきりと残り消え去った女の殺意が本気の物であった事を如実に表していた。

「先生、今のは何なんですか一体?」

混乱する頭の中を必死で整理しながら、亜矢子は直子に尋ねたが、直子はそれに答える事無く、荒い息で肩を上下させ何も答える事無く俯いた。

「教えては頂けませんか沢村さん……」

前原も直子に前で跪き、直子の瞳を覗き個うむ様にしながら尋ねて見たが、直子は眼をつぶったまま大きく息をしながら、何も答えようとはしなかった。


「――教えて頂けなかったら、又、警察の方に御同行願う事になるかもしれませよ」

優しい口調では有るが、現役刑事の言葉には迫力が有る。場数を踏んだ者ならではの説得力は、直子の心に激しく突き刺さる。直子はゆっくりと顔を上げ、前原の方に視線を向けると、静かに経緯を話だした。
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