今日も今日とて僕は僕をコロシます
名刺入れと言ったからか、律義に彼女は名刺入れを渡そうとしたが、血で汚れるからと見るだけになった。
銀色で、座る黒猫が彫られた、なんとも彼女らしい名刺入れ。
「名刺はなくとも、口はあるだろう?」
「へ……、ああ、僕は……名前言ったら呪われるとかありませんか?」
「それも私の分野ではない。呪術だ。第一、呪術で使う名は、呪いをかけるそいつが自ら自身でつけた名前をさす。
親(他人)から貰った名など、自分の本体には繋がらない。認識されるだけの名に、呪い効果など付与されないよ」