天使の羽根

 その瞳の中に、優しさと寂しさが交差しているようにも見える。

「人を好きになるって素晴らしい事だと思うよ」

「え?」

「だから、言えないままって言うのは悲しいね。素直に自分の気持ちと向き合って、互いの心を確かめ合ってこそ、恋はもっと素敵になるんだよ」

「……うん」

 あずみが軽く頷くと、その心には誰が映っているのか智子には解っているようだった。


 それ以上何も言わず、あずみの肩をポンっと叩くと、深い皺がより一層刻まれた。
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