天使の羽根

Act.1




 手触りの良い布が指先に触れ、穂高は双眸を閉じたまま、その温もりを掴んだ。

 ふかふかと心地よく、疲れた体を包み込んでくれる柔らかさの中で、現のような寝返りをやんわりと打つ。

「……ん……?」

 飛び降りた時にでも体を痛めたのか、穂高は少し苦痛の表情を洩らしながら、ゆっくりと瞼を開けた。

「ここは……?」

 まず初めに、霞んだ視界に映ったのは天井だった。

「穂高くん……?」

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