天使の羽根

Act.2



「何で……?」

 穂高の問いに、高生は申し訳なさそうにスッと視線を逸らした。

「……それは……」

「今更、言えないのかよ?」

「すまない、でも、何もかも聞いていたんだ。過去へ行く事も、戻る日も……」

「だったら、あずみの事も聞いてるよな? 俺が帰る日が解ったんなら、あずみは今どこに……」

「たぶん、まだ過去に」

 信じられない言葉を吐く高生に、穂高は怒りが心頭し、思い切り襖を拳で叩いた。その荒々しさにビクリと肩を竦め、史恵は両手で顔を覆い泣きだしてしまう。


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