天使の羽根
「思ってた……離れた時は……だな」

 そう聞く穂高に、あずみは返事をせず、窓の外に視線を向けてしまった。だが、穂高はあずみを愛しそうに見つめる。

「こんな、皺くちゃになって……知らせるつもりはなかったのに」

「でも、もうこうなるって運命は変えられなかったんだよ……で、俺がここに戻って来れたのは……」

 そう言いかけた穂高の言葉を遮るように、あずみはスッと手を重ねてきた。

「あの時代は、苦しいよ。食べ物も、何もない、それこそ辛い……生活が、待ってる。だか、ら」

 穂高は、あずみの手を握り「大丈夫」と微笑みを返した。だが、目の前のあずみは、今にも消えてしまいそうだった。

「苦しいのか、あずみ」

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