死の使い方Ⅱ-W/z 4 U-

Ⅲ:君、想う

「店長~。これ、あそこの席に落ちてましたけど…」

テーブルを片付けていたスタッフが、店長の英康に封筒を渡した。

「何だ?」
英康がスタッフから、封筒を受け取る。


「たぶん、ナオさんのお連れさんじゃないですか?お薬飲まれてたから…」


「薬?」
英康が、封筒を見る。

そこには、病院名と宛名先が書いてあった。
一目で、病院の紹介状だと分かった、英康。


「店長。一応、中を確認した方が…。もし間違って渡したら、大変なことになると思うんで…」

「あっ、あ…。そーだな…」
生返事をする、英康。
不安がよぎる。


ナオヒロが座った小上がりには、今日は誰も座っていない。
すると、これを落としたのはあの娘しかいない。

ナオヒロが、始めて連れてきた彼女。
素直で優しい娘に見えた。
英康は、あの娘ならナオヒロにピッタリだと思っていた。

やっとナオヒロにも好きな女が出来たかと、喜んでいた英康だったのだ。

それが、病院の紹介状なんて…


英康は覚悟を決め、封筒の中を確認した。





< 42 / 78 >

この作品をシェア

pagetop