九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】



「宍戸さん!」


彼方と八部が駆け寄り、応急処置を始める。

迷う余裕はない。

辻は救急車を呼び、十和田は呆然とする五家宝凛の手に手錠をかけた。



泣きながら、宍戸は語る。



「娘は……凛は、夏実が死んですぐに私の前から消えてしまった。

何処へ行ったのか…私は探そうともしなかった」



「喋るな!」

「オーナー!」



二人の制止も聞かずに宍戸は続ける。



「ホテルを潰し、夏実を殺し、娘を殺人犯にしたてあげたのは……」



「やめて…」


五家宝、いや、宍戸凛は涙を流す。


首を振って、言わないで、と。



「本当の殺人犯は、この、私なんだ……っ!!」



「やめて…父さん!!」




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