九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】



「あの、ならばこんなストーリーはいかがでしょう!」


殺人事件にストーリーとは不謹慎限りない。


が、参考意見は聞かねばならぬ十和田は話してみろと促した。



「まず、犯人は双葉南です!」


はぁ?という視線がその場にいた捜査員から注がれた。

しかし、ほう、と目を丸くして十和田と彼方は続きを要求する。



「それで」


「双葉は一条氏の浮気を責めて一条氏を殺害。

一時の感情で殺人を犯してしまったことに後悔し悲観した双葉はプールの飛び込み台から飛び降りて自殺!

ほら、双葉が正面から飛び降りている謎も解決できます!」



「ほー」


「筋は通っているでしょう警部!」


呆れた視線が一転、感心の色に変わった。


しかし。



「それは可能性が低いですね」



一喝したのは、彼方である。



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