アダルトチルドレン
杏里が待ち合わせ場所に着いた頃、誠も丁度到着した。

こんな新宿の人混みの中でもオーラを放っている誠。

白いジャケットにジーンズが似合っていた。

誠は仕事の合間に時間を作ってくれていた…

次の仕事があるからと、新宿の中華料理屋で二人で食事をした…

カップルだったらあたり前の事かもしれないけれど、そんな関係でもない私達は、そんな当たり前の事すら新鮮だった…

食事をし終わって、歩きながら誠がいった…

「お前と歩いてると、同伴してるみたいだな…」

まあ、それもそのはず、本職だからね…なんて思いながら、ただ道を二人で歩いてるだけで楽しかった…

誠は次の仕事にいかなくてはならなくて、一緒に居れたのは2時間くらい…
だけど、とても幸せだった…

最後の別れ際、誠は杏里を道端で抱きしめ、二人は別れた…


なんなんだろう?
この関係は…

今まで経験した事のないような感覚…

決して自分のものにしたいとかじゃなくて、誠と居るその時間が杏里の居場所のようで…

例えるならば、ホストにはまってしまってるような…



とにかく誠を好きとか嫌いではなく、誠に依存していた…



それからも月1くらいのペースで連絡がきては、杏里が予定を合わせて会う…そんな関係が続いていた…

関係を聞くのが怖くて聞けないのもあったが、依存していくうちに、杏里は誠にとっていったい何なのか? 自分でもわからなくなっていた…


好きとかじゃなくて、自分の中で会うことが刺激になってるというような、とにかく、周りに何を言われようが仕事を後回しにしようが誠の予定に合わし生活していた…

誠と一緒に過ごす時間が、自分の気持ちの居場所だった…


決してこんなマメでもなく、悪く言えば都合の良い女になってたが、それでよかった…


それが心地よかった…

でも、その裏で、
「いつまで、あたしはこんな事してるんだろ…」

そう思うようにもなっていた…


そう考えようになってから、誠に会うのは嬉しいが、何か義務的に自分が接している事に気付く…

このままじゃ駄目だ…
これは愛してるんじゃなくて、恋愛マンガじゃ恋に焦がれてるとかいうのかな?…
依存してるだけ…

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