月夜の天使
「カナン、記憶がもどったのね」

「天使の泉」の館内に響き渡る優しい声。

「香織さん・・・」

振り向くと、カナンのために儚く命を散らせた懐かしい人が立っていた。

「天使の泉」でいつも加奈を案内してくれた受付の女性、それが、あのカオリさんだったなんて。

香織の優しい微笑みは記憶の中のカオリそのものだ。

「カナン、あなたがここに来るたびに、前世のあなたの悲しい顔を思い出したわ。でも、今のあなたは、全ての愛を受け入れて、とてもいい表情をしている。覚悟が決まったのね」

覚悟・・・。

そう、もう私は迷わない。

「ええ」

香織は安心したように微笑み、加奈にひざまづく。

「カナン、月の一族はあなたとともに。月の神子と運命をともにする覚悟はできてるわ」

香織さん・・・。

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