群青ホームラン



部活が終わったあと、俺は長崎に電話をかけた。


『もしもし?長崎。来週野球の試合があるんだけど見に来てくれない?』

長崎の返事はオッケーだった。

俺は全然かっこよくないし、アピールするところもない。でも唯一野球だけは、野球をやってる姿だけは好きな人に見てほしい。


「部活終わったの?」

そんな声が聞こえて振り向くとそこには冴木がいた。

冴木がこんな時間まで学校に残ってることなんてまずありえない。


「え?冴木?どうしたの?」

俺がそう聞くと、冴木は少し言いづらそうな顔をした。


「……いや、なんか今日余計なことを言ったかなって思って」


余計なこと?

――『そんなことより、なんで長崎が今さらそのことを自白したのかを考えれば?』


「……ぷ、あははは!」

急に可笑しくなって思わず笑ってしまった。


「な、なんだよ?」

冴木は少し、いやかなり不満そうな顔をしてる。


「いや、なんか嬉しくて」

「は?」


だってそれを気にして冴木はこんな時間まで俺を待ってたんだろ?いつもすぐ帰るくせに、あの冴木がだよ?


俺は嬉しくて仕方ねーよ。

それでこんな友達を持てた俺は最高に幸せ者だ。

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