群青ホームラン



「なあ、文化祭の日ちょっと抜け出して南女子校に行かない?」


次の日、俺の前の席に座った竹田が身を乗り出して言った。まあ、なんとなく予想はしてたけど。


「ほら、自分たちの文化祭より他の文化祭に行った方が楽しいじゃん?」

竹田の遠回しな言い方に俺は思わず突っ込んでしまった。


「どうせ長崎に来てって言われたんだろ」

ドキッ!と聞こえはしないけど、竹田の顔はそれがもろに出ている。


「な、なんで分かるんだよ?つーかお前だってなっちゃんに会いたいだろ!行こうよ」

……会いたいって別に会ってるし。


「別にいいけど、俺らのクラスもなんかやるんじゃないの?」

抜け出すのは簡単だけど、サボったからって後片付けとか押し付けられたら死ぬほど面倒なんだけど。

俺だけならバレなそうだけど、竹田なんてただでさえうるさいからそんなヤツがいなかったらすぐ気づかれる。


「だって別にやることないじゃん?俺らのクラス、ミスコン担当だし」


………ミスコンってなに?

心の声が顔に出ていたのか竹田は露骨にため息をついた。


「どうせあの時寝てたから聞いてないんだろ?ミスコンっていうのは全生徒にアンケート取って学年別の男女の一位を決めるんだよ」

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